読書旅行に最適な小説、私の7選

読書

私のブログによく書いている「読書旅行」とは、私が勝手に命名して作り上げた物であります。

「読書旅行」とは、読書をすることによって小説の世界に入り込むことです。

読書をしているその時間だけ作者が作った世界に入り込みます。

読み手はその風景を思い浮かべ、色も風の感じ方も自分たちの好きなように感じて思い描いていきます。

何て素晴らしい旅行なのでしょうか。

読書は自由です。

読み手がどのようにして受け止めてもいいのです。

私にとって最適だった読書旅行の小説7作品を、またあっさりと紹介していきたいと思います。


ザリガニの鳴くところ

ディーリア・オーエンズ 作

ノース・カロライナ州の湿地で育ったカイアという少女の壮絶な物語です。

遊び人の男・チェイスの死体が湿地で発見された。
以前から交流があったと噂されていた「湿地の少女」カイアに疑いの目がかかる。

カイアが幼い頃、父親の暴力により母も兄姉も家を出て、遂に父も帰らなくなり1人ぼっちで生きてきた。

湿地のことを誰よりも知り、動物や自然への愛に満ちたカイアが殺人を犯すか・・・。

カイアが住む湿地の情景や、そこに生きる鳥や虫、動物の様子、それと共存するカイアの綺麗な澄んだ心が伝わって来ます。

湿地を知らない私にとって、街の喧騒から遠く離れた静かな世界を感じることができ、これこそ自由な読書旅行でした。

捉え方も色も、湿地に吹く風の感じ方も読み手によって違うと思います。

しかし、カイアの澄んだ気持ちや、淡い恋心に共感する所は一緒かもしれませんね(*^-^*)

殺人事件から始まるこの物語は、最後に本当の驚きが待っています。

いつもは、読み始めると最後まで一気に読んでしまいたくなるのですが、この物語はゆっくり時間をかけて読みました。

1日少しずつ・・・でも次も気になる・・・でも、このカイアが住む湿地の世界から抜け出したくない!

何度か読み返した小説です。

ノースライト

横山秀夫 作

主人公の建築士・青瀬は、自信作のY邸に思い入れがあったが、実際にはそこには誰も住んでいないことがわかった。

Y邸の依頼主である吉野は、青瀬に「あなた自身が住みたい家を建てて下さい。」と依頼していたのだ。

しかし、吉野一家は1度も居住した形跡がない。

家にあるのは1脚の椅子だけで、吉野とは連絡もつかない。

あの時の吉野の言葉には、どんな意味があるのか・・・。

青瀬は吉野の行方を心配し、独自で捜索を始める。

南や東の光を取り入れる建築という常識を破った「ノースライト」の家を巡るミステリー。

初めは建築の知識も何もないので、私は入り込むのに時間がかかりましたが、少しずつ慣れてきて面白くなりました。

登場人物1人1人が深く関わって、繋がっていき胸が熱くなりました。

主人公青瀬は、様々な謎に向き合っていく中で、自分の過去にも向き合うことができ、希望の光をつかむ。

人の気持ちのミステリーです。

今までどんなことがあっても、人はいつでも立ち直ることができるということが、この物語から学ぶことができました。

読んでいると、頭の中にしっかり景色が見えてきました。

ノースライトの意味がわかる静かで美しいミステリーに読書旅行してみて下さい。

ナミヤ雑貨店の奇蹟

東野圭吾 作

悪事を働いた3人が逃げ込んだ場所は、店主が亡くなり長い間、空き家となっていた雑貨店。

廃業しているはずの店内に突然、シャッターの郵便口から「悩み相談」の手紙が入って来る。

その手紙は時空を超えて過去から投函された手紙だった。

どんな悩み相談にも応えてくれる雑貨店。

それが「ナミヤ雑貨店」であった。

ナミヤ雑貨店が舞台の異なるエピソードや登場人物が、何処かで繋がっている。

東野圭吾さんの作品はどれも物語としても優れていますが、登場人物1人1人の気持ちや思いを大切に描写しています。
それが、私たち読み手に痛いほど伝わって来ます。

単純にミステリーやファンタジーと分類するには難しい美しい作品です。

この時空を超えた手紙のやり取りが読書旅行になります。

その時代によって「ある物」「ない物」は違いますが、人の気持ちはいつでも変わりません。

点と点が繋がっていき、最後の手紙の文面には深い感動があり、爽やかな気持ちで本を閉じました。

本当に読んで良かった物語で、最高の読書旅行ができました。

時間がない時でも少しずつ読んでいっても素敵な読書旅行ができます。

東野圭吾さんの作品は全て、短時間で読書に入り込むことができるのでお勧めです。

忙しくて気持ちが落ち着かない時や、なかなか解決できない悩みがある時に読むと気持ちが少し落ち着き、今の自分と向き合うことができました。

真夏の方程式

東野圭吾 作

人気のガリレオシリーズです。

湯川は、仕事のために訪れた玻璃ヶ浦で宿泊した旅館のもう1人の宿泊客が翌朝、遺体で発見された。

その被害者は元刑事で昔、玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。

これは事故なのか、殺人なのか・・・。

湯川が気付いてしまった真相とは・・・。

夏休みを叔母の家族が経営する旅館で過ごすことになった少年と、子ども嫌いの湯川のやり取りが微笑ましい。

舞台となる玻璃ヶ浦は架空の地名であるため実在はしないのですが、東野圭吾さんの描写によって、私の頭の中にはすぐに青い空と青い海、白い砂浜と余計な喧騒がない波の音がする町の風景が広がりました。

忙しい日を送っていても、東野圭吾さんの魔法ですぐに物語に入り込むことができます。

玻璃ヶ浦の美しい海を守るために活動している住人。
誰かのために、この美しい海を守らなければならない。

それは、なぜか・・・。

長年、嘘を隠し通さなければならない辛さが伝わってくる。

愛の形や表現は難しいが、その愛は必ず相手に伝わるはずです。

草花たちの静かな誓い

宮本輝 作

アメリカ在住の叔母が急逝した。
莫大な遺産を相続することになった甥の弦矢は、ロサンゼルス郊外にある叔母の家に向かった。

そこで、幼い頃に亡くなったとされていた叔母の娘レイラが実は行方不明であると判明する。

レイラは今まで、どこにいて、誰といるのか。

27年間、レイラの行方不明を叔母はなぜ秘密にして、亡くなったとしていたのか。

叔母とレイラ、家族の謎を追うミステリー。

物語の中のアメリカ西海岸の景色、叔母の家の美しい庭の草花たちの様子、叔母がよく作っていたスープが、とても良い流れですぐに頭の中に入って来て私をアメリカ西海岸への読書旅行に連れて行ってくれました。

自分が今、カリフォルニアにいて、青い空と乾燥した空気と太陽の強い陽ざしを浴びている気分になります。

また、宮本輝さんの作品にしては珍しくミステリータッチな物語になっていますが、
宮本輝さんらしく心温まる物語であります。

タイトルの通り、美しい庭のたくましい草花にも心があり、自分を育ててくれた人の思いを受け止めているように感じました。

だから、「静かな誓い」なのだろうと、最後は深く納得しました。

私も1人娘の母でありますが、子を守るということは一緒にいるだけではなく、その子が本当に幸せに暮らしていくためには今、何が必要なのか、自分がどうするべきかを考えることが必要だと思いました。

普通の一般の常識通りに進まないこともあります。

自分の望みではなく、子のための希望を考えてあげたいと改めて感じました。

自分では経験することがないであろう特別な世界を読書旅行することができます。

流星ワゴン

重松清 作

息子は中学受験に敗れて引きこもりになり、妻からは離婚を切り出される。

38歳の主人公は「死んじゃってもいいかなあ、もう・・・。」と、考えていた。

車を走らせていると、交通事故で死んだという親子に出会う。

人生の岐路になった場面に、何度もワゴンでタイムスリップして巡る旅です。

父親と息子の再生の物語になります。

「もう、ダメだ。」と諦めたり、気付かないフリをすることは簡単ですが、その時どうするべきか、頭で考えていても行動を起こさなければ、その悪い状況を放置することになり、良い方向には向かいません。

親子関係、家族関係のみならず、自分が生きてきた今までの人生について考えさせられる物語です。

自分の人生をもう一度やり直すことができるなら・・・。
あの時、こうしておけば良かったのかもしれない・・・。

見過ごしてしまったり、気付かないフリをして後悔したことも沢山あります。

もし、タイムスリップしてやり直しができるなら、後悔しないのか・・・?
そして、そのことによって全て上手くいくのか・・・?

「何も知らない。」ことと「全て知っていても何もできない。」のはどちらが不幸せなのだろう。

泣ける場面もあり、最後には自分の中でも色々と考えさせられる場面もあり、自分と重ねてしまいました。

過去を変えることは無理です。

しかし、これからの自分の気持ち次第で行動に変化が生じて、行動に変化が生じることにより今までより良い方向に向かうのではないかと思います。

希望を持つことができる、ほっとする物語です。

タイムトラベルという非現実的な所にいつの間にか引き込まれて読んでいました。

こんな読書旅行もいいな・・・。と、しみじみ思いました。

52ヘルツのクジラたち

町田そのこ 作

自分の人生を家族に振り回されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年の物語です。

他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界でたった1頭だけの52ヘルツのクジラ。
たくさん仲間がいるのに、自分の声が仲間には届かない。
そのため、そのたった1頭の52ヘルツのクジラは世界で1番孤独だと言われている。

だから、言葉が届くということは、どんなに幸せで素晴らしいことなのだろう。と、思います。

主人公2人が生きてきた環境は、あまりにも酷く壮絶で読んでいても辛くなりますが、これは物語の中だけではなく、実際に毎日怯えて暮らしている子どもがいるのでしょう。

そう考えると読んでいて胸が痛くなります。

そして、この物語からは「愛」というものについても考えさせられます。

愛している人に愛を伝えることより、その人の幸せを祈ることを最後まで大切にしていて嬉しい気持ちになります。

そして、それに応えるように愛を救うために奮闘していきます。

52ヘルツの声を受け止めることはできなくても、相手の立場や気持ちに寄り添うことはできるでしょう。

最後にはタイトルの伏線が美しく回収されます。

こちらの作品の舞台は「大分県の小さな海辺の町」です。
主人公がこの町に引っ越してきますが、その新居となる家屋の様子や、近所の人、町の人との掛け合いが温かく、良い気持ちで読書旅行から帰って来ることができます。

2021年本屋大賞第1位の小説です。

読書旅行にふさわしい小説を教えて下さい

私は読書が好きですが、趣味としているだけなので、まだまだ知らない作家さんや作品がたくさんあるはずです。

今回のように「読書旅行」にお勧めの小説がありましたら、ぜひコメントを下さい。

もっとたくさんの物語に出会い、たくさんの読書好きな方と出会えることを楽しみにしています。

前回の記事、「読んで後悔しない!絶対ミステリー小説」も、お時間がありましたらご覧ください。

そして、忙しい毎日を送っていて読書をする時間がない方も作品をチェックしてみて下さいね。


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